韓流研究室

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野生のチンパンジーが母娘で障害児ケア、京大が初観察 

★チンパンジーが障害児ケア 
 京大、野生家族で初確認

 京都新聞 2015年11月09日
 
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20151109000144
 kyoto20151109205116chinpanjee.jpg

重度の先天性障害がある
野生チンパンジーの赤ん坊が、
生後約2年間、
母親や姉に保護されて育った事例
を、
京都大野生動物研究センターの
中村美知夫准教授と
理学研究科大学院生の松本卓也さんが
発見した。
障害者をケアする人類社会の成立を
考える上で重要な成果という。
10日、日本の霊長類学誌で発表する。

 中村准教授らはアフリカのタンザニアで
野生チンパンジーを研究。
2011年1月から生後間もない赤ん坊の
メスを観察し始めた。
その後、腹部にこぶなどがあり、
知的障害もみられると分かった。

 赤ん坊は成長しても座れず、
母親にしっかりとしがみつけなかった。
母親は赤ん坊を抱えて移動し、
食事で木に登っても手を離せず、
不自由していたという。
赤ん坊の姉も世話するなど、血縁同士で
助け合って育てる様子もうかがわれた。


 12年12月に赤ん坊はいなくなり、
死亡したとみられる。原因は不明という。
中村准教授は
「長く生きるのは難しかっただろうが、
 母親が苦労して世話を続けた様子を
 観察できた。他の事例がないか研究し、
 弱い立場の仲間を助けるような社会が
 成立する背景を探りたい」

と話している。

(引用ここまで)



★野生チンパンジー、障害のある子を
 家族でケア 京大が初観察

 日本経済新聞 2015/11/9
 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG09HGX_Z01C15A1000000/
京都大の研究チームは9日、
重度の先天的障害のある野生チンパンジー
の赤ちゃんを、母親や姉が家族ぐるみで
育てていた様子を観察したと発表した。

 中村美知夫准教授は、野生チンパンジーが
障害のある個体にどう接するかを
観察できたのは世界初とし、
「人類社会で障害者のケアが
 どのように進化してきたかについて
 示唆を与えている」と話した。
(中略)
 チームは、母親がこの赤ちゃんを
抱えながら木登りする姿を観察。
赤ちゃんの姉も、母親をサポートするように
積極的に子育てに関わっていた。


 中村准教授は
「母親も姉も障害をある程度理解した上で
 手厚くケアしていたのではないか」

としている。
〔共同〕


 
★チンパンジーが「介護」、
 母と姉が障害持つ子を

 読売新聞 2015年11月11日
 http://www.yomiuri.co.jp/science/20151111-OYT1T50011.html?from=ycont_top_txt
重度の先天性障害を持つ野生のチンパンジー
に対し、母親と姉が約2年間、介護とみられる
行動を取ったことが確認されたと、
京都大大学院生の松本卓也さんらの
研究グループが発表した。

 障害のあるチンパンジーを介護する様子が
見られたのは世界で初めてという。
論文は10日、日本の英文学術誌
「プリマーテス」の電子版に掲載された。

 障害があったのは、
タンザニアの国立公園で2011年1月に
生まれた雌。生後1~2か月でも
寝たきり状態が続き、先天性の遺伝子疾患
があったとみられる。

 観察を続けたところ、
母親は、自力でしがみつけない娘を
左腕で抱きかかえるなど、
通常の子育てでは見られない方法で移動。
母親が食事をする際などは、
姉が世話をするようになった。
母親は、
姉以外には触れさせなかったという。


(引用ここまで)



★ダウン症のチンパンジー、
 母と姉がケア 
 野生で初めて観察に成功・京大

 産経新聞 2015.11.11
 http://www.sankei.com/west/news/151111/wst1511110021-n1.html
チームによると、赤ちゃんは2011年1月、
東アフリカのタンザニアにある国立公園で
生まれたメス。
ダウン症とみられる症状があり、
腹にこぶがある。
食事は母乳のみで、
自力で動くことができなかった。


育児は母親と姉が分担する形で担当し、
オスは担当していない。
ただ、赤ちゃんは2012年12月以降、
姿が確認されていないという。

(引用ここまで)



感慨深い記事・・・
母性とは何かを問い直す深い研究だ。

動物園など人間の飼育下での
チンパンジーの子育てに関しては・・・


★『人間とチンパンジーの子育ての違い』
 岩波書店「科学」2007年6月号
 http://langint.pri.kyoto-u.ac.jp/ai/ja/k/066.html
(引用開始)
飼育下では,出産の2例に1例という
高頻度で育児放棄になる。
程度はさまざまだ。
産むと同時にギャッと叫んで飛びのく。
産み落とした子どもをのぞきこむが抱けない。
頭を下にして抱く。腹と太ももの間にはさむ。
これでは子どもが乳首を吸えない。
見かねた獣医師や飼育員が子どもを取り上げて
人工保育する。
そうして育った子どもは,
また育児放棄する親になる


過去30年間,霊長類研究所で5人の母親に
合計7例の出産をみた。
そのうち最初の4例では母親育児が2例,
育児放棄が2例だった。
最近の3例では「介助保育」に成功した。
3例とも母親は子を産み落とし,抱き上げない。
そこで,母親と親しい者が部屋に入って
子どもを抱くようにしむけた。
子どもは,腕でしがみつき,手で握りしめ,
唇で乳首を探し,口に含むと吸うという
一連の生得的な反射をもって生まれてくる。
そこで,母親が落ち着いたところを見計らって
その胸に子どもをつける。
子どもを抱けない母親も,いったん子どもが
しがみつくと,必ず抱くようになる。
(中略)
チンパンジーに年子はない。
野生チンパンジーの過去46年間の出産
534例を集めた最新の調査では,
出産間隔は5年に1度である。
寿命は最長50歳で死ぬ間際まで産む。
生涯に6人だ。
でも5歳以下で死ぬ乳幼児死亡率が
約3割と高い。

(引用ここまで)



★発達と育児
 岩波書店「科学」2010年3月号
 http://langint.pri.kyoto-u.ac.jp/ai/ja/k/099.html
 ■チンパンジーの子育て

チンパンジーの赤ちゃんは,
常に母親に抱かれている。
空腹になると自分でもぞもぞと頭を
動かして乳首をくわえるので,
ヒトの赤ちゃんと違って大声で泣くことが少ない。
赤ちゃんは母親の毛をしっかりと握りしめたまま,
外の世界や興味津々でのぞきこんでくる
仲間たちの顔を見ている(図1)。
1歳ころになると,子どもが母親から離れて,
ともだちや面倒見のよいおばさんと遊ぶ姿も
見られるようになってくる。
ただし,何かがおこると子どもはすぐに母親の
もとに戻るし,母親のほうも離れた場所にいる
子どもを常に気にかけて静かに見守っている。

5歳ごろになると,子どもが母親から離れて
けんかに参加したり,子ども同士のけんかに
親が関わらなくなったり,母親が授乳を拒否
したりすることが増えてくる。

(中略)
■チンパンジー流の子育てとサポート

野生の場合,周りに先輩の母親がいるので,
見よう見まねである程度のことは学べるようだ。
飼育下の場合は周りにお手本が少ないこともあり,
ほぼ半数で育児拒否がおこってしまう。

無事に母親が子どもを抱き上げたとしても,
うまく授乳ができないこともある。

チンパンジーの母親と子どもの関係は
非常に濃密で,うらやましい部分もある。
子どもに何かできないことがあっても,
積極的にそれを教えこむことはない。
ひたすら自分がやっている姿を
お手本として見せることで,
子どもの側が自発的に学んでいく。

また,自分の子どもをほかの子どもと比較したり,
周囲からの評価を気にしたりすることがない。
ヒトのように口やかましく注意することはないが,
嫌なことをされたときにはしつけをするように,
子どもに怒ることもある。

一方で,チンパンジーの新生児は常に
母親にしがみついているので,
子どもから離れて自由になれる時間は
存在しない。
ヒトと同様に,チンパンジーの母親にも
育児ストレスは少なからずあるだろう。
霊長類研究所では,
母親以外のおとなのチンパンジーたちも
子どもと同じ群れに暮らしている。
子どもが少し母親から離れるようになると,
血縁関係がなくてもおばさんやおじさんが
子どもの面倒を見ることもでてくる。
野生でも子ども同士で遊んだり,ほかの
おとなたちと遊んだりして,子どもが母親の
手から離れる時間ができてくるようになる。

2009年末,ボッソウの野生チンパンジーで
面白い事例を観察した。
ファンレという若い母親が,2歳になるフランレ
という男の子を育てている。
フランレにはファナという祖母がいる。
何人もの子どもを育ててきたベテランだ。
一方,若くて体つきも華奢な母親のファンレ
にとって,元気いっぱいのフランレの子育ては
大変なことも多いだろう。

祖母が近くにいると,孫のほうから近寄って
遊んでもらうこともある。
母親のほうは,その間にせっせとナッツを
割って食べていた。
集団が移動をはじめると,孫がぴょんと
祖母の背中にとびのって,運搬してもらっていた。

チンパンジーではおばあちゃんが孫の面倒を
みることはないといわれていたが,
状況次第でおばあちゃんが娘の子育てを
助けることもあるようだ。


(引用ここまで)


 
親は、
子供を育てながら様々なことを学ぶ。
子は、親の子育てを見て学ぶ。
そして、親になる・・・

育児放棄や虐待、
殺人にまで至る親子の事件。
人間は豊かな物質文明と引き換えに
失ったものは大きい。

本能だけではなく、
見よう見まねの学習と、経験。
野生のチンパンジーの母娘は、
医学的な知識は無くても、
障害を持って生まれてきた小さな命を守るため
知恵を絞っていたのだろう。
母の必死な姿を見て、自然に姉がサポートする。
お姉ちゃんチンパンジーは、
間違いなく、愛情深く、
そして強い母親になる事ができるだろう。
生きようと頑張った妹と
必死で子供を守って暮らした母の姿と
妹を失った悲しみも、母親の辛さも
身近で体験したのだから・・・。

この母親も、娘のサポートが無かったら
介護ストレスで育児放棄をしてしまったかも
しれない。
自然界では、生存に係るサバイバルがある。
移動の際に両手を使えない状況は
不便だし、危険が伴う。
それでも尚、我が子を見捨てなかった
彼女の信念。

本来ならば「群れ」全体で育てることで
群れ社会を保持してきただろう。
他のチンパンジーは、その経験から
障害を持った子供が長くは生きられない事を
察知していたはず。
母親が、障害を持った我が子を
”姉以外には触れさせなかった”という行動から
「群れ」社会での”常識”を超えた行動なのかも。

野生のチンパンジー母娘の姿に、
学ぶことは大きい。




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Comments 1

名無しさん

この記事で思い出した事例があります。
ある母親チンパンジーが死に瀕していた幼児が亡くなってからも遺骸を抱き続けたというもの。
やはり京都大学霊長類研究所のサイト <閲覧注意>
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/press/20100427/index-j.html

子孫を残す欲求が育てる意欲になって愛情に変わる。
冷徹には、当事者(猿)には近親者の「死」や「障害」の認識ができにくいのではないかとも見えます。特に母親は幼児を自分の一部という認識が強いだろうから。
しかし、それを見守っている群れのチンパンジーたちは、死や障害を認識し、学び、傷ましさや同情という情緒を少しずつ育んだのではないかという気がしてきます。社会性。学ぶところがありますね。

2015-11-12 (Thu) 00:36 | EDIT | REPLY |   

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